色のバリアフリーに配慮した色見本を色弱の僕がレビューします。

IRC でのりさんが教えてくださったのですが、CUDO(クドー)や日本塗料工業会DIC株式会社などにより色覚の多様性に配慮した案内・サイン・図表等用のカラーユニバーサルデザイン推奨配色セットというものが制作されたそうです。
DIC の色見本と言えば、デザイナーの方には有名かと思いますが、近いうちにDICカラーガイドシリーズに追加されるそうです。
また、日本塗料工業会塗料用標準色(JPMA Standard Paint Color)にも2009年5月会員予約受付開始分から収録されるそうです。
さっそくサイトのサンプルを見てみましょう。

色弱の人が赤と感じやすいように、オレンジ寄りの赤にしています。
黄色
白内障の人が白と区別しやすい、濃い黄色にしています。
色弱の人が黄色や赤と間違えやすい黄色みの強い緑を避け、青みが強い緑を選んでいます。ただし青緑まで行ってしまうと、今度はグレーや紫と混同するので、それよりも緑に近い微妙な位置にしています。
オレンジ
赤がオレンジ寄りになっているのとバランスを取るため、少し黄色寄りのオレンジになっています。
空色
青との明度差を確保するため、少し明るめになっています。
ピンク
青みのピンクだと空色と混同することがあるので、やや黄みに寄せたピンクにしています。
茶色
明るめの茶色は赤や緑と混同することがあるので、暗めの色にしています。(ただし黒と間違えることがあるので注意が必要です。)
青紫は青と間違えやすいので、赤みの強い紫にしています。

という説明がありますが、まぁ、そんなのは色が普通に見える人向けの話です。ですが、普通の色がどういう風に見えているのか分かりませんが、確かに下に書いてある色の名前の通りに見える気がします。
では、もっと分かりやすい比較画像を見てみましょう。

表示しているのは、サイトに掲載されている JPEG ではなく、リンク先にある TIFF に近く見えるように作成した PNG ファイルですが、本物はリンク先の TIFF ファイルです。見え方に違いがあるので、注意が必要です。ですので、僕は TIFF の方を見て感想を書きます
まずCUD 推奨配色セット(以下、CUD)の赤ですが、確かに赤に見えます。よく使われる色づかい(以下、代表的)の赤だと、茶色との区別が難しいです。
次に緑ですが、こちらもCUDだと明る目に見え(普通の人だと淡いと感じるのかもしれませんが)、確かに緑です。代表的な緑の方だと、濃い茶色と言われても信じるかもしれません。
黄色ですが、代表的な黄色は本当に黄色ですか?クリーム色の間違いではないでしょうか?CUD の黄色は間違いなく黄色です。
空色は結構難しいです。そもそも水色はピンクや藤色に見えやすく、この配色も例外ではありません。まぁ、空色自体が色弱の人に分かってもらうのが難しいということで良いでしょう。
ピンクは素晴しいです。代表的なピンクは水色に近く見えますが、CUD のピンクは間違いなくピンクです。僕にとっては、かなりビビッドしています。
青も難しいです。紫との区別が微妙です。しかし、それは単体で見た場合の話です。青と紫の区別であれば、CUD の配色だと断然違いが分かります。
逆に言えば、代表的な青と紫の場合、どっちが青か紫かはほとんど区別できません。ですが、CUD だと区別できるのです!!

この配色を使う上でのポイント。

結局の所、僕が重要だと思うのは、単色であれば、CUD 配色を使おうが、代表的な配色を使おうが、分からないときは分からないものです。
なので、CUD 配色を使っているからと言って、色弱白内障の人も分かるだろうと安易に考えないことです。
CUD 配色の良いところは、複数の色を並べたときに、他の色との区別がつきやすいというところです。つまり、どうしても色分けをしなければならない場合などには、代表的な配色に比べて有利だと言うことです。
赤文字で注意を促すなどの色に意味を持たせるという使い方の場合は、CUD であろうがなかろうが、気付かない場合があるので、意味がないという事は忘れないで欲しいと思います。
大事なことが Q and A に書いてあるので、引用しておきます。

Q:自分には、これがいちばん見分けやすい配色だとは感じられないんですけど・・・?
A:この配色セットは、一般の色覚の人(C型)にとって従来あんまり馴染みのなかった色合いを使っている部分があり、多少違和感があるかも知れません。これは、従来の色調が色弱の人などにとって見分けにくく、バリアになっていたのを解消するための工夫です。また、色弱の人のことだけを考えれば、これよりももっと見分けやすい配色を作ることができます。しかしそうすると、一般の人にはもっと違和感が大きい、見分けづらい配色になってしまいます。網膜症や白内障の人についても同様です。特定のタイプの人の使い勝手だけを考えて、他の人が不便になってしまうのは良くありません。なるべく多くの人が同じように見分けやすいように工夫するということは、逆に言えばどのタイプの人にとっても、「自分にとっていちばん見分けやすい」ものにはならないということです。お互いが少しづつ譲り合うことでどの人にも使いやすくするというのがこの配色セットの根底の発想です。

http://jfly.iam.u-tokyo.ac.jp/color/CUD_set/

という感じの感想になりました > id:nyama さん