色弱のキーワードを追ってみると。

色弱というはてなキーワードを作ったのは僕なんですが、にわかにナナオのモニタキャンペーンのおかげで、色弱注目キーワードになっているわけです。
というわけで、滅多に言及されることのない色弱についての意見を多く目にする機会ができたわけですが、思いの外誤解が多くて、結構悲しくさせられる記述が多々ありました。
でも折角なので、例を挙げながら軽い啓蒙活動をしておきたいと思います。

一般色覚D型P型

左から、一般色覚、D型色覚、P型色覚


 一般色覚とそれ以外で、ここまで見え方が違ってしまうとは驚いた。こんな色の野菜だったら食べる気がしないよ。枯れてるように見えるんだけど。

これは、一番ありやすい誤解ですが、色弱者の色の見え方は生まれたときから死ぬまで同じです。しかも、色の見え方と感性は別ものです。なので、新鮮な野菜の色は、色弱の人にとっても、新鮮な野菜の色に感じます。

今は必要ないけど、いつ色弱になるかわからないから、こういうモニターもあるのかということを知識として持っといたほうがいい。いざという時に慌てなくてもいいからね。

そして、いざという時に慌てなくてもいいというのは、多分、これはエミュレートした色彩表現だと色弱の人も一般の見え方の様に見えるようになると思っての発言だと思うんですが(僕も一瞬そう思ったのですが)、そんなことはありません。これに関しては、同じような誤解をしている人が結構多かったです。
このモニタの機能は、色弱者の見え方を一般者の見え方にエミュレートしているのです。そして、色弱の人からすれば、色弱者見え方と一般者の見え方はほぼ同じなのです。
なぜかを説明すると、一般者の見え方からもともと判断できない色を抜いたもの色弱者の見え方をエミュレートしたものであり、もともと判断できない色は存在しない事と同じなのです。

ノートパソコンの充電度合いが分からない場合どうすんだろう。信号は?ひょっとして周りの人の反応をみて横断歩道をわたるかどうか判断してるんだろうか。右も左も分からなかった小学校入学したての自分を思い出してしまった。どうすればいいかわかんなくて周りばかり見てる時ってとっても不安なんだよね。

これはまさにそうです。充電器などのLEDランプは大抵の場合、赤が充電中で、緑が充電完了ですが、はっきり言って分かりません。こういう時のためのユニバーサルデザインなんですが。
信号に関しては、僕個人としては視力が悪い人の方が危険だと思っています。なぜなら、今光っているランプの位置さえ分かれば、一般の人が心配するほど問題がないからです。視力さえよければ、遠方からでも余裕を持って判断できます。

人間の色の見え方・感じ方(色覚)は、個人個人が持つ遺伝子のタイプによって異なります。また老化や目の疾患によっても変化します。ある人の色の見え方と別の人の色の見え方は同じではないのです。

年をとると、感情が薄れていくというのはこういうことが原因なのかもしれないな。

年齢によっての視覚の変化は色弱とは全く関係ありません。つまり、simplesimonさんが引用している文章が言っている事は、色の見え方というの遺伝子で決まっており、血液型のようにタイプで分類しているだけなのです。同じ人間でも姿かたちが違うのと同じで、当然、色の見え方も多少なりとも違っていると言う事なのです。
しかし、色弱を不憫に感じる必要はないのです。健常者にとっても、身体障害者にとってもエレベーターが便利なように、色弱者にとっても便利なものを作り出す世の中になれば良いだけなのです。