デザイニング・ウェブナビゲーション。
5月の末に出版された、デザイニング・ウェブナビゲーション ―最適なユーザーエクスペリエンスの設計 をご存知でしょうか?
オライリーのデザイニングシリーズ(と言っても、3つだけですが)のひとつで、日本で出版されるのは、デザイニング・インターフェースに続いて2冊目になります。
デザイニング・インターフェースも良書でしたが、こちらを知っている人にはインターフェースとナビゲーションはどう違うの?と感じる方がいるのではないかと思います。どちらも UI に属するテーマですし。
実際には、両者の違いは非常に大きく、前者がソフトウェア全般のより良い操作性に焦点を当てたものに対して、デザイニング・ウェブナビゲーションは、タイトルに "ウェブ"と付くように、ウェブにおけるより良いユーザーの先導方法を考察した本になります。
実はこの本、デザイニング・ウェブナビゲーション欲しい!という日記を書いたところ、監訳者のひとりであるIA Spectrum の浅野さんがその記事を見つけて下さって、プレゼントしてくれたのです。日馬富士が初優勝したのに匹敵するくらい嬉しかったです。
んで、5月の終りから読み始めたのですが、予想を上まわるガッツリしたボリュームで、とりあえず読み終ったのが6月の20日でした。個人的には1、2章が最もヘヴィーで、3章からは割とペースアップして読んでいける感じでした。
ナビゲーションの倫理について深く考えさせられた1、2章。
第1部の目次にも書かれていますが、
この倫理というのが実に深い。
最初の2つの章、「ウェブナビゲーション入門」と「ナビゲーションを理解する」では、ウェブナビゲーションおよび人間の基本的な情報行動の全体像を、多くの分野を完結に紹介しながら示します。この2つの章では以降の章に比べ実践よりも倫理を重視し、専門家による見解も取り上げながら、ナビゲーションの決め手となる概念を紹介します。
実践的というのは、例えば、パンくずナビゲーションは現在地を知るための手段になるとか、メニューのラベルは内容をすぐ理解できるものにしろとか、ヤコブ・ニールセンがいつも言っているような事です。
僕はニールセン教の信者(笑)なので、彼の本やコラムを愛読しており、この手の知識はそれなりに豊富でした。しかし、ナビゲーションの倫理は、ニールセンからはまったく学んでこなかったということが判明したのです。
例えば、1章のナビゲーションはブランドを反映する(p12-14)では、
とあります。例としては、BOSE サイトのメインメニューに Innovations がある事を挙げており、この会社の姿勢をナビゲーションによって表現しているとしております。
ブランド特有のメッセージをメインナビゲーションで提示する事で、そのブランドがどこへ向かっているのかを、顧客に示す事ができる。
確かにその通りなのですが、ニールセン教の教えによって、メインメニューは簡潔な言葉でユーザーが求めるものをという盲信に支配されていた僕は、この事ひとつにとっても目から鱗で、毎セクションごとに「ぬぅ、楊業」と唸る耶律休哥のような気持ち*1でした。
とまぁ、そんな感じのスタートだったわけですが、長くなってきたので、何回かに分けて感想を書きたいと思います。
デザイニング・ウェブナビゲーション ―最適なユーザーエクスペリエンスの設計
- 作者: James Kalbach,長谷川敦士,浅野紀予,児島修
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2009/05/25
- メディア: 大型本
- 購入: 12人 クリック: 281回
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重ね重ね、ありがとうございます。そして、写真選びを手伝ってくれた Mushline の浅野さんもありがとうございました。
他にも何枚か撮った写真がオライリーTシャツ | 30days Album™にあります。このシャツの着こなしのモデルになっている怪獣の名前が合言葉になっていますので、興味のある方はどうぞ。
*1:この表現については、北方謙三の 楊家将〈下〉 (PHP文庫) をどうぞ。