Kindle Unlimited で何が起こるのか?

Kindle Unlimited

2016年8月、ついに日本でもKindle Unlimitedが開始されました。Kindle Unlimited は月額980円でKindleストアで販売されている本の一部が読み放題になるプランです。このプランの登場により、本とそれを取りまく環境がどのように変化する可能性があるのでしょうか。

本の価値が変わり、webページと同じになる。

Kindle Unlimited が一般的に普及すると、本の価値そのものが変化する可能性があります。

本というのは、インターネット上にあるwebページと異なり、一般的に購入して読むものであるため、読者はあくまでその本に強い拘りや関心がある人に限られます。しかし、Kindle Unlimitedでは、購入というプロセスが無いため、そこまで強い興味がない人であっても、本の内容を目にする新たな可能性が生まれます。

極論を言ってしまうと、この新たな可能性は本がwebページと等価になると言えます。

その結果、どういうことが起こるのでしょか?

書籍もネットによってバズる可能性が高まる。それも異常なまでに。

インターネットでは、バズが発生すると、そのページのPVは劇的にアップします。例えば、このサイトのPVは記事が何も更新されていないときで、1日200〜500PV程度ですが、記事がバズると10万PVほどまで高まり、その差は500倍ほどになります。

本の場合、ネットでバズればもちろん売り上げがアップしますが、あくまで強い興味がなければ購入に至りません。それは、バズの元ネタを知るだけでなく、その本の内容そのものに興味がなければ、購入してもあまり得を感じられないためです。そのため、webページほどのインプレッションは生まれませんでした。

しかし、Kindle Unlimited が本格的に普及すると、本の内容そのものに強い興味がない人であっても、とりあえず、バズの元となった箇所だけを拾い読みできるようになります。

そのため、これまで購入に至らなかった層、つまりwebサイトで言うところのURLが流れてきたからたまたま記事を目にするようなライトな層からもインプレッションを得られるようになるというわけです。

本の販売戦略が変わる。

こうして、本の購入層(正確に言えば購入していない)が変化するということは、その販売戦略も変化する可能性があります。

Kindle Unlimited はページの閲覧数に応じて報酬が支払われる仕組みになっています。web業界にいる人であれば、ピンとくるかと思いますが、この報酬の仕組みはサイトの広告に似ています。

すなわち、あくまでPVを得られさえすれば、報酬を獲得できるようになるわけですから、実行すべき販売戦略は、一般的なwebマーケティングの手法にのっとり、ネットでバズをおこし十分な認知を作ってから、ネット広告でしっかりと刈り取りを行うことに他なりません。そして、PVを恒久的に獲得するために、広告を打ち続けることが大事になります。

まとめ。

昨年ごろから米国では電子書籍の販売が減少傾向にあるというニュースがあり、日本でKindle Unlimitedが開始されたとしても、それが一般層まで普及するには遠い道のりのように思えます。

そのため、上記で述べたように、本の価値や販売戦略の変化が一般的となり、十分な市場規模となるにはまだまだ時間がかかるでしょう。個人的には電子書籍の可能性や利便性は感じていますが、複数のプラットフォームが乱立している現状に購入意欲を削がれているのが現状です。

Kindle Unlimited もあくまでAmazon一社による取り組みであるため、市場規模は小ぶりと言わざろう得ません。しかし、これまでと異なる新たな本の可能性が生まれたことには違いありません。

コンテンツ制作者は、この可能性を十分に理解した上で、制作を行っていく必要があるでしょう。