『Emacs実践入門』を書く際に心掛けた点について。

「はじめに」の(没案)では、本書を書き上げた気持ちについて真っ直ぐに語りましたが、内容についてほとんど語っていないという紹介としてはあまり役に立たないものでしたので、今度は内容に触れて紹介してみたいと思います。

Web全盛期初のEmacs入門書。

Emacsの入門書は、これまでもいくつかあったかと思いますが、その多くは2000年の前半に出版されたものです。そのため、Web開発でEmacsを利用するというよりも、C言語などによる開発に特化した内容が多かったように思います。
もちろん、どちらも同じ開発なのでコードを書くということについて大きな違いはないのですが、それでもEmacsを使ってWeb開発をする際のノウハウが欠けているのは、あまり時代にマッチしているとは言い難いのではないかと思います。
僕自身も、非常に残念かつ、お恥かしいことに、C言語による開発をバリバリ経験したわけではないのですが、そんな人間がEmacsを使って開発を行ない、入門書まで書くという時代の変化が、逆に面白いと個人的には思っています(もちろん、C言語についても、マスタカさんなどから色々とアドバイスを頂いて、きちんとカバーしました)。
過去の遺産に挑戦するよりも、20代だから書けるEmacsの解説書、というそんなところを意識して内容をつめていきました。
ですので、気軽にHTMLやCSSを編集したい、Ruby, Perl などで開発してみたい、メモ、原稿書きのツールとして使いたいなど、そんな軽い気持ちでとりあえずEmacsを使い始めたい人にこそ読んでいただきたいと思っています。

「書き下し」大好き。

WEB+DB PRESS Vol.58 を知っている人は、ご想像の通りなのですが、まえづけにも以下のように書かれています。

本書は、小社刊『WEB+DB PRESS』Vol.58の特集「Emacs活用無限大──思考を直感的にコード化し、開発を加速する」をもとに、大幅に加筆を修正を行い書籍化したものです。

一応その通りなのですが、僕は「書き下し(書き下ろしとは、連載時とは異なり、書籍化のために新たに書き起こされたという意味です)」というのが大好きで、自分が買った本のおくづけに「書き下し」と書かれてあるとテンションが上がるタチです。
なので、本書を書くにあたって、特集で同じ内容に触れている部分についても、日本語の表現により推敲を重ねて、雑誌の一特集ではなく、書籍としての統一感と、面白さが出るように頑張りました。この労力が報われるのかどうか分かりませんし、読む人にとってはどうでも良い事かもしれませんが、自分としてはとても満足しました。

虎の威 vs 新進気鋭。

Emacsというと、ほんと偉大な開発者の方が使っていて、特集時にはバベル案内を引用したりして、偉大な方の名前を借りておんぶに抱っこしてもらったりもしたのですが、本書では敢えてそういう表現に頼らないようにしてみました。
もちろん、僕自身がEmacsを使い始めた切っ掛け自体、凄い人が使っているエディタらしいというところからEmacsを利用し始めた部分があるので、そういった憧れを煽るのは悪いとは思いませんし、事実、偉大な方が多いです。
ただ、僕自身がまつもとさんを尊敬していて、何度も「本書に寄せて」を読んでニヤニヤし続けることと(もう10回以上読み返しました)、新たなEmacs入門者が、『Emacs実践入門』を買ってくれるのは、たぶん理由も感情も異なると思うわけです(この部分は本当に重要だと思うのです)。
もちろん、僕としては「本書に寄せて」を読むだけでも買う価値があると思うわけですが、そこに頼ってばかりではいかんだろうという、やっぱり自分の書いた本なので、自分が責任を取らなければならないという28歳(執筆開始時は27歳)の大きな決断だったというわけです。

その他、みどころ。

その他のみどころを簡単に紹介してみましょう。

本書と相撲の関係について。

ここだけの話ですが、どこかに両国の地図があります。

Emacs小指について。

がんばって解決策を考えて本書に記載しました。これについては、また詳しく語ります。
という感じなので、発売日は3月7日ですが、興味が出てきた方は、ぜひ手にとってみて下さい。

Emacs実践入門 ?思考を直感的にコード化し、開発を加速する (WEB+DB PRESS plus)

Emacs実践入門 ?思考を直感的にコード化し、開発を加速する (WEB+DB PRESS plus)

偉大な方々が続々紹介してくれています!

伊藤直也さんによる Tweet

まぁ、正直に申し上げて、やっぱり偉大な方の言葉は偉大だし、個人的にとても嬉しいので、どんどん紹介して貰いたいと思っています :p)
というわけで、みなさんのご紹介をお待ちしております!!