香川大学特別講演「ソーシャル・スキル -時代変化の考察と対応-」。

10月21日、弊社でインターンをしていた香川大学の院生である [twitter:@sanryuu_] くんの招待で、香川大学で講演をさせて頂きました。
大学に進学しなかった自分が大学で講演をするというのも人生の面白さで、90分の講義x2コマの180分、200人近くの学生を前にお話させてもらいました。
対象となるのは、工学部情報科の1年生と3年生ということで、あまり技術寄りな話ではなく、これからの人生を生きるヒントに使ってもらえるようなお話をしようと思いまして、今回のタイトルである「ソーシャル・スキル -時代変化の考察と対応-」になりました。
というわけで、折角なのでお話した内容を記事にして纏めておきたいと思います。

目次。

  • 企業が求める人材は時代によって変化する
  • スペシャリストとゼネラリスト
  • 知識を持っているだけでは何も偉くない
  • 起業とニートは同じ選択肢
  • 料理で学ぶ建設的思考
  • 文章力・礼儀・気遣い
  • どんな環境でも生き残るには

主に上記のテーマに沿ってお話しました。これは前半と後半に分かれていて、

前半
企業が求める人材の考察
後半
身につけた方が良いスキルとその身に付け方について

という流れになっていました。あと、本題に入る前に自分の経歴について自己紹介をしましたが、高卒→フリーター→フリーランス→起業という流れは、大学生にとってはそれなりに特殊で、世の中にはそういう人もいるのかと思ったのではないかと思います。

企業が求める人材。

さて、まず最初にお話したのは、就活して企業へ就職すると言っても、大企業やベンチャー、そして国内と国外など様々な選択肢が存在していて、それぞれ求めるスキルが異なりますという話です。
大企業の場合、現在では学歴フィルターというものが存在しており、残念ながら僕の様な高卒者は逆立ちしても就職することができません。しかし、ベンチャー、特に海外のベンチャーの場合は、学歴ではなく自分の実力と実績によって評価されるため、学歴不問で実力さえあれば採用されます。
ただ、ベンチャーの場合は新人教育は期待できず、あくまで自分自身でスキルを伸ばしていく必要があります。そして、実力がなければクビになる、または辞めたいと思うくらい厳しいものとなっています。逆に大企業はしっかりとした教育カリキュラムが用意されているため、右も左も分からない状態であっても丁寧に教育して貰えますので、どちらもメリット・デメリットがはっきりとしています。

スペシャリストとゼネラリスト。

次に、最近僕が強く考えている、今のウェブ業界では何でもできる人が有利だという視点からお話しました。
デザインだけができる人は既に沢山いますし、プログラミングだけができる人も既に沢山います。ですが、往々にしてデザイナーはプログラミングが苦手で、プログラマはデザインが苦手です。その両方に精通している人というのは、現実的にかなり希少なため、現場は大変重宝されます。
もちろん、自分の専門を疎かにしてはいけませんが、技術の多様化が進む現在では何でも出来るということが大事になってきています。ただ、これには周期があり、もしかすると5年後にはスペシャリストが望まれる時代がやってくるかもしれません。

知識はコモン・センス。

これは、そもそもは浅野さんのなぜ、勉強するのか « IA Spectrumからの受け売りなのですが、そこから派生した知識を持っているだけでは何も偉くない。の記事と同じ話です。
仕事を始めると、自分の所属する業界以外の人と話す機会が増えますが、その方面の知識を持っていないと対等に話すことができません。
僕の現実問題として、一応経営者の立場もあるため、何が正しいかを適切に判断していく必要があります。ですので、どんな業界人と接しても、知らない、分からないで済ますのではなく、最低限対等に話ができるだけの知識を持つ必要があります。
なので、学生の間に沢山勉強しても、知識を得たからと言って満足せずに、それを使って実践すること、また日々の何げないバイトなどからもぼーっと働いて給料を貰うのではなく、様々な事を吸収することで、それが将来の役に立ちますという話をしました。

起業とニートは同じ選択肢。

割と厳しめの話が続いたので、ここでちょっと気分転換に、発想や視点を変えると見えてくるものがあるという話をしました。

id:pha さんを例に、ニートになる決断をするには、諦めなければならないものが沢山あり、とても大変な決意だという話をしました。
そして、起業するのも失敗したときのリスクなどを考えると両者は結構似たような決意が必要で、pha さんの場合は働かないというルールのひとりだけの会社を作ったようなもんだと言いました。
学生の感想を読むと、「ニートと起業が一緒という考えには驚いた」という感想が多かったですが、実際のところ、起業する人なんて社会から見たらはみ出しものなので、本当に似たようなもんだと思っています。

料理で学ぶ建設的思考。

まあ、よくある料理をプロジェクトとして見てマネージメントしてみるという話です。みんなに考えてもらいました。
ゴールを設定して、必要なものを洗い出して、手順を考えるという感じです。

文章力・礼儀・気遣い

どの業界にいっても通用し、逆に言えば一生つきまとう3つのスキルがあるという話をしました。



僕が日頃注意している点を纏めて、これらは全部学生の内から鍛えることができるので、早くから気をつけておくと良いですよーという感じです。
まぁ、僕が言わなくても学校の先生や親が言ってくれていることでしょう。

どんな環境でも生き残るには

最後の纏めです。ジョブズ並の名言を残そうと頑張りました。

負の感情を上手くコントロールしていくことが、どんな組織の中で生きて行くにも大事だという事を言いました。

自分の嫌なところばかり見つめず、自分を愛せるようになり、それと同じくらい人を愛して下さいと言いました。

最後の自分が好きな自分になるというのは、目標を達成するための自分を作るためのデザイン・パターン。で書いた内容の簡易版なのですが、定期的に自分の駄目なところを反省して修正し、昨日よりも自分の好きな自分になって下さいという話をして締めました。
だいたい、1コマで75分程度話たのですが、最初の講義はまぁいい感じにこなせたのですが、次の講演は後半で体力ゲージがエンプティになってしまい、あまり面白いアドリブも入れることができなかったので申し分けなかったです。
次の機会がいつあるか分かりませんが、今回の反省を活かして、その時はもっと上手くできるように精進したいと思います。
機会を与えてくれた @sanryuu_ くんと、お世話になった富永先生、懇親会で沢山お話してくれた研究室のみなさん、話を聞いてくれた香川大学の学生のみなさん、どうもありがとうございました。
帰ってから、KLabの仙石さんが講演された記事を見つけて読みました。僕の話した内容と近いところ(もっと厳しいですがw)があって、面白かったです。

Twitter 上での反応。

残念ながらEmacsの話はありませんでした :p)
また次があれば、いつかそんな話もしたいですね。
Twitter で意見が見れるのは楽しいですね。ぜひブログも書いてトラックバック(死語)が欲しいです。