Chrome の Omnibar でアドレスバーの重要性が変わる。

ブラウザの中で、アドレスバーからの検索を最も最初に発明したのは多分 Opera だと思うんだけど、Google Chrome はこれに Omnibar と名付け、ブラウザの検索ボックスを消しました。
これは非常に重要な変更で、今後、ブラウザというソフトの標準インターフェイスがどうなっていくのかに大きな影響を与えます。

まだ重視されていない閲覧履歴。頼られる Google 検索。

ウェブブラウジングをする上で、人が最も行なうのは、自分の知ったサイトへの移動だと思っている。しかし、その移動方法は、人によって様々だ。
大多数は、URL (URI) という概念を理解しておらず、主に Google 検索によって目的のサイトに移動する。もしくはブックマーク、そして Opera のスピードダイアルChrome のよくアクセスするページなどを使う。
アドレスを直接タイプする人は間違いなく少数派である。それがアドレスをタイプして移動するよりも30秒遅くてもだ。残念ながら普通の人はアドレスなんていちいち覚えない。
ただし、ここに補完の概念が加わると状況が結構変わる。

閲覧履歴が最も重要になる。

閲覧履歴は非常に重要な情報である。これはパソコンを深く使っている人の共通認識だと思うが、zsh のコマンド履歴、Emacs の色々な履歴、履歴が吹っ飛べば明日からの作業に支障をきたすのは言うまでもない。
ブラウザの閲覧履歴もそう。良くアクセスするページはアドレスの頭をタイプすると、履歴からそのアドレスの前方一致で結果が表示される。
このソート順は結構重要で、Opera の場合は、表示される結果はドメインの名前の順+閲覧履歴の時系列、ただし補完されるのはアクセス数が最も多いアドレスになっていると思う。これは結構便利に感じている。
Chrome は、インスタント検索機能によって、タイプされたドメインで最もアクセスしているページを先に描写します。この動作は操作慣れしている人にとっては多少お節介でムカつきますが、多くの人にとっては非常に有効だと思います。
なぜなら、アドレスをタイプするだけで移動できるという体験を与えることができるからです。要するに多くの人は、アドレスをタイプして移動できるという事をまだ知らないのです。

履歴の検索には Oepra が一日の長あり。ただし、PR は Google の方が上手い。

Opera のアドレスバーは便利だけど、それは「アドレスバーが便利」という売り込み方でしかありませんでした。要するに何が出来るのかが明確ではないという訳です。
Chrome はアドレスバーから「何でも検索できる」という売り込み方です。これは、アドレスバーから検索できるという機能を知らなかった人にとっては衝撃的です。
アドレスバーから検索できるという事を知った人にとって、ブラウザの検索ボックスは無用の存在でしかありません。IE ですら導入した機能でしたが、消える方向になるのは間違いないでしょう。

一度アクセスしたページを必ずアドレスバーから到達できるようにする。

Opera はキャッシュされたコンテンツからの検索する機能を持っています。Opera はこの履歴コンテンツの検索機能を強化すべきだと思います。
この機能は非常に大きなアドバンテージですが、一部のブラウザオタクくらいしか注目されていません。Opera は僕みたいにローカルに百万通以上のメールを保持している者でも、充分な速度の全文検索機能を与えてくれていますので、ローカル検索にもかなり強いです。
ですが、いまいちプレゼンテーションが下手なので、そういう機能があることを知っている人はほとんどいません。過去に一度アクセスしたページであれば、アドレスバーに数文字タイプしただけで、誰でもそのページに辿りつく事ができるようにできれば、Opera にとって非常に優秀な武器になるでしょう。多くの人が Google に頼る場面のひとつがこれで消えます。
Chrome としては、できれば一度 Google の検索結果を経由して欲しいでしょうから、この攻め方はなかなか難しいと思います。
ブラウザの機能は複雑すぎるので、できるだけ簡潔に、誰にでも分かりやすく魅せる必要があると言えます。