先週の移動中の読書。
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/02/08
- メディア: 文庫
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この小説は主に明治維新後の西郷、大久保に焦点を当て、その周りの人物とその出来事について描かれているが、この小説も読みどころが豊富で非常に面白い。
まず、現在の警視庁を作り上げた川路利良。1巻の車内うんこ投げ事件とそのときの発言(『人間はそれほど崇高な生き物ではない』だったか)から涙ものだが(冗談)、彼がポリスより新しい文明が起こると信じて作り上げたものが、大げさに言うと現代の民衆の意識では国の金儲け機関みたいに思われてしまうような、大きく理想から脱線していることに泣きそうになる。
大久保の周囲では、みんな沈黙に耐えるのに必死だったり、笑いどころは豊富なのだが、それ以上に現代と照らし合わせて悩ませるところが潤沢すぎて正直、かつてないほどに思想をこねくりりんと舞わされた。それとは別に、西郷の周りが一番(悲壮な運命をみながらも)幸せそうに見えたのは、やはり司馬氏も理解に苦しむ西郷その人の魅力があってこそなのだろうか。
また一つ、現代の教育への課題が見えてきた気がする。