先週の移動中の読書。

新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫)

新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫)

移動中など暇が出来るかと思い、学校の図書室から3〜5巻まで借りたが、広島滞在中は読書をする暇がなく、3冊は借りすぎたかと思い直しそうになったが、何のその。山口の宇部市まで移動する間、電車待ちや移動時間などが膨大で、2冊半くらい読めた。
この小説は主に明治維新後の西郷、大久保に焦点を当て、その周りの人物とその出来事について描かれているが、この小説も読みどころが豊富で非常に面白い。
まず、現在の警視庁を作り上げた川路利良。1巻の車内うんこ投げ事件とそのときの発言(『人間はそれほど崇高な生き物ではない』だったか)から涙ものだが(冗談)、彼がポリスより新しい文明が起こると信じて作り上げたものが、大げさに言うと現代の民衆の意識では国の金儲け機関みたいに思われてしまうような、大きく理想から脱線していることに泣きそうになる。
大久保の周囲では、みんな沈黙に耐えるのに必死だったり、笑いどころは豊富なのだが、それ以上に現代と照らし合わせて悩ませるところが潤沢すぎて正直、かつてないほどに思想をこねくりりんと舞わされた。それとは別に、西郷の周りが一番(悲壮な運命をみながらも)幸せそうに見えたのは、やはり司馬氏も理解に苦しむ西郷その人の魅力があってこそなのだろうか。
また一つ、現代の教育への課題が見えてきた気がする。