序文

これから書くにあたって、どの時代から始めるか悩んだ。潔くプリミティヴ・アートから始めようかとも考えたが、紀伝体にするためには芸術家が台頭してきた時代以降でなければ成立が難しい。芸術家と言う存在がその作品よりも表に出だしたのは、およそルネサンス以降なのである。それまでは芸術家というものは職人みたいなものであり、その名を残したものは極わずかである。その時代の節目には、やはりヴァザーリ芸術家列伝というものが大きく関係しているのは確かである。
戯言であるが、題を[芸術家外伝]としたからには芸術家列伝の補完をせねばなるまい。ならばバロックあたりから始めるのも良いのかもしれない。しかし、それらと現代美術は大きく異なっているために互いの差による混乱が生じる可能性があるため20世紀の芸術から始めることにする。
・・・と思ったのですがバロックが素晴らしすぎるので、やっぱりバロックから始めたいと思います。