Tactics Ogre / 松葉博

tomoya2003-04-12

SFCで大人気を博したゲームの唯一の公式コミック。全4巻で、出版社はエニックスです。
始めに言っておくと、僕はこの作者のファンなのである。というか、他の漫画家とは一線を引いて見ているのだ。なぜかというのは、この作者がデビューしたときから見ていたので妙な親心というか情が湧いてきたのである。もうデビューして5年以上が経ち、絵も表現能力も随分と成長してきている。そしてこのゲーム、実は僕が一番好きなゲームなのだ。ストーリー、システム、サウンド、その全てが最高なのである。だから、この連載が決まったときは正直狂いそうなほど嬉しかった。しかし、紹介するからには公平に評価しよう。
ゲームを原作とするマンガというのは結構難しい。エニックスはゲーム原作のマンガを多く持つが、成功と言えるのは『ロトの紋章』ぐらいかもしれない(他はキャラの人気で引っ張っているやつが多い)。
では、これはどうなのかと言えば、意外性があってよかった。なぜかと言うのはこのゲームはストーリーの分岐が多いゲームであり、しかも最初の分岐で大きく話しが異なる。軽く説明すると、『正義を貫き通すルート』と『合理の為に手を汚すルート』に分かれる。一応メインルートは前者とされている。しかし、このマンガがとったルートは後者なのだ。これが非常に意表を突いてよかった。とはいえ、ゲームをプレイしていない人には少し解り辛いところは否めないのが残念なところ。あと、雑誌の関係上話が途中で終わっているのが最も心苦しい所である。
しかし、このゲームをプレイした人や、少しでも興味を持っていた人は一読してみることを御薦めする。買って後悔はしないだろう。
あとこれは余談だが、この作者はこのマンガの連載中に他誌でも連載していたのだが、こちらが中世の剣と魔法により人が肉塊になる世界であるのに対して、もう一つが平安ラブコメディーであったのが笑える。同じ時に、殺伐と平穏の両極端のものを扱っていたその器用さも評価すべきところかもしれない。
ISBN:4757501765