イエスタデイをうたって / 冬目景

連載誌はビジネスジャンプで現在3巻まで発売中のこの漫画、ほとんど連載してないからいい加減ファンが離れるぞと思いながら、内心そんなことよりも中々連載が始まらないことにかなり苛立っている。逆をとれば、それだけ続きが気になるわけでもある。しかし、連載しないくせに、他誌で連載始めたり、画集出したりしているのを見ると7対3ぐらいで、怒りが勝つかもしれん。
まあ、この漫画は友達の口を借りて説明するなら『貧乏学生臭い恋愛マンガ』だそうだ。彼はこの作者の作品が大好きだから褒め言葉なのだろう。僕の評価は、『男向けの、妙に現実味のある恋愛マンガ』という感じだろうか。きっと妙な現実味のあたりを、友達は貧乏学生臭いと言っているのだろう。まあ、わからんことはない。
要は話し重視といった感じである。それは、キャラがうまく生きているからこそと言えるだろう。絵はさほど上手くは無い。といってもそれは漫画家としての意味で、芸大出身の彼女*1は漫画家とは少し違う絵を描く。それが画集とかを出版できている所以なのだろう。
このマンガの特徴として面白いのは主題がはっきりしているところである。それは『恋愛とはなんぞや』である。主人公が公言しているのである。普通、こういうものはキャラの口からは出さず、裏々で密かに伝えていく感じが多い。しかしこの話しの中では、恋愛は錯覚など、それもくさいセリフとしてではなく、剥き出しの言葉として使っている。この様なところが目を見張るところなのだろう。
お薦めはしたものの、この漫画は一年に一冊も出ない。最後に発行したのはいつだったか。というよりも最後に連載していたのは、いつだったんだろうか。という感じの悠長などというレベルの問題ではない作品である。しかし、面白いことは間違いないので(それは紹介する限り毎度のことなのだが)気長に待てる方は是非読んでみてください。

ISBN:4088757718

*1:彼ではないらしい。今知った驚きの事実。