そろそろ北方謙三の史記について語ろうか。

角川ハルキから刊行された、北方謙三の新連載作品、史記武帝紀ですが、もちろん買って読みました。

史記 武帝紀〈一〉

史記 武帝紀〈一〉

国史北方作品が好きな人はまず問題ありません。
なので、僕が気付いた、三国志水滸伝と比較しての史記の面白さをとりあえず語っておきたいと思います。

戦の主力が歩兵から騎馬の時代へと変化する面白さ。

三国志水滸伝と比べ、史記は時代がなお昔です。それ以前で有名な話だと、項羽と劉邦あたりになるんですが、この頃の戦というのは、人と人をどうやってぶつけるか*1、という戦でした。
そして、戦術の巧みさはあまり戦の勝ち負けには関係がなく、集団の勢いが戦の帰趨を決めていました。
もちろん、漢の以前の春秋時代には孫子の兵法があったわけですが、なぜ戦術が大事にされなかったのかというと、この頃はまだ騎馬による戦がなく、歩兵のみの陣形を組んで直接ぶつかり合う戦の形で、結局、覇気が漲っていると往々にして勝利を得れたわけです。
ですが、三国志の頃には、呂布の騎馬隊など騎馬が強い武将は強いというイメージがあるように、騎馬隊が戦を大きく変えてしまいました。
その理由は単純明快で、人と馬では移動スピードに圧倒的な差があるからです。ファイアーエムブレムでスピードが優れていると、相手からの攻撃を食らう事がなくなり、大変有利なのと同じ原理ですね(嘘)。まぁ、数をスピードが凌駕する事もありえるようになった訳です。
そんなわけで、騎馬が有利というのは分ってもらえたところで、いつ戦の中心に現れたのかと言うと、この「史記武帝紀」となるわけです。
というわけで、1巻が刊行されたばかりでハードカバーでもまだまだ揃えやすい、史記をみんな読みましょう :-)

*1:方陣最強説