TWIN SIGNAL / 大清水さち

tomoya2003-04-25

出版社はエニックス。ガンガンではロトの紋章に匹敵する長寿漫画。全19巻。そういや最後らへんで、エニックスお家騒動で掲載誌が Gファンタジーに変わってましたな。
ぼちぼちメジャーなタイトルだと思うので説明は簡潔にいたしますが、ロボットの話です。この作者は故石森章太郎さんを師事しているらしいので、戦闘兵器のようなロボット漫画ではなく、人型ロボット(作中では Human Form Robot と呼ばれるので、以下 HFR とする)と人間との関係についてがメインの話です。実際、ロボットとしてではなく、ほとんど人に近く描かれていますが実に性格が豊かで、キャラが生き生きとしていて、それだけで漫画として十分価値を得ています。
どうやらこの漫画は女性の読者が多いようで、男で単行本を買う人を身近で見かけたことがないのですが、絵で判断しているのでしょうか。男性でも難なく読めると思うのですが。作者は長期連載はこの作品が初めてなので非常に絵が変化しています。それは最後まで続いていましたが、他に無いタイプの絵で良いと思います。独自の世界観がよく表現されていて人目でわかります。
しかし見るべきところは話であります。最近では再びのガンダムブームやらで、兵器的なロボットばかりが注目されていますが、この作品は感情を持つ HFR だけが登場し、ロボット工学の行く末を明るくしてくれます。誰しもが、こんなロボットがいてくれたらなーと思われるでしょう。それはドラえもんの様に、何でも手助けしてくれるのではなく、共に成長できるロボットであるからに他ならないでしょう。ロボットと家族など夢のまた夢かもしれませんが、この作品を読むと必ず実現してほしいと心から願いたくなります。これからは、ロボットと聞くと戦闘を思い浮かべるよりも、暖かい家庭を思い浮かべる現代であってほしいですね。まさに、それを示唆する作品の金字塔と言えるでしょう。秀作です。
ちなみに最初の3巻目ぐらいまでは長期連載が決まってなかった時期のようで、お話的に一話完結のコメディ形式に話が展開されるため、大きな主題があつかわれていないため後半部分と内容が大変異なりますのでご了承下さい。
ISBN:4870250489