出版までの道のり 2016 出版社から選ばれる時代から選ぶ時代へ。
本を出版すると、人からよく「どうやって出版したんですか?」と聞かれました。もちろん、自分自身も出版するまで、どうすれば出版までこぎつけることができるのか、未知の道のりでしたので、質問する気持ちは良くわかります。
同様の質問として「どうやって会社を立ち上げられたのですか?」という質問もありますが、これも似たようなものです。どちらも回答としては同じで、結局のところ本を出したいのなら「まずは書く」、会社を立ち上げたいのであれば「まずは登記する」。つまりは行動ありきであることが、実際にやってみれば良くわかります。
ただ、出版の場合だと、書いたとしても「出版社を見つける」という重要かつ難しい課題が残されていました。しかし、最近この課題も重要ではなくなってきました。それは電子出版という選択肢が登場したからにほかなりません。
電子出版の現状。
もちろん、電子出版と紙の出版にはまだまだ大きな違いがあります。電子と紙を比べた場合のデメリットは以下のようなものがあります。
- 売上規模が違う 電子は紙の10%程度
- ターゲット層が限られる 20〜30代
- 編集(校正・校閲)を自身でしなければならない
- PR(宣伝)を自身でしなければならない
ただし、電子は紙に比べて、一切の費用的負担を掛けず、また出版社を選ばずに市場価値を問えるという、紙にはない魅力があります。
これを踏まえた上で、私が考える2016年からの出版への道のりを述べていきたいと思います。
出版への道のり
大筋の手順としては、次の通りです。
- テーマを決める
- 目次を作る
- 書く
- 画像素材を揃える
- 校正する
- 電子版を作成する
- 校正する
- Amazonで電子出版する
- 宣伝する
- 売上データをまとめる
- 出版社にコンタクトをとる
- 出版社を決める
方針としては『書きたいものを書く』という気持ちを最優先事項として、方法を考えます。その上で導かれる僕の中でのベスト方法が上記になります。
この方法の良いところは、電子である一定部数の売上を確保しておくことで、紙で出版した場合の売上規模を予測しておきます。そのため、出版社にとっても無名の著者であっても、リスクをとれるようにしておくことが肝要です。
出版社の人間もサラリーマン。
考えてみれば当たり前ですが、出版社の編集者も会社に所属するサラリーマンです。そのため、上司からハンコを貰わなければ、話はひとつも前には進みません。
そして、ハンコを貰うために最も有効な判断材料は、決裁権を持つ人からの『それ、売れるの?』という疑問に対するアンサーであることは、言うまでもありません。
つまり、先に最大の障害を取り除いておくことで、議論を円滑に進めることができるようになります。
出版社から選ばれる時代から、自分で出版社を選ぶ時代へ。
さて、電子書籍の登場によって、これまでは、出版社から選んで貰わなければ難しかった出版フローに上記の選択肢が加わった結果、私の中で確たる気持ちが芽生えました。
それは、出版社から選んで貰うのではなく、出版社を選ぶ時代がきたのだということです。
出版はコンテンツビジネスですが、コンテンツビジネスの打率はとても低く、3割バッターで優秀なプロデューサーという説が一般的です。
そんな厳しい現実の中で、すでに市場からの評価を獲得しているコンテンツというものは、金の宝箱と言えるでしょう。
みんなが開けたい金の宝箱があれば、あとは誰に鍵を渡すかを決めるだけです。つまり、どの出版社に作品を預けるか、よくよく吟味して決めることができるようになるのです。
出版社を選ぶ基準。
出版社を選ぶ基準は、人それぞれだと思いますが、参考までに個人的な基準とその理由を述べておきたいと思います。
- 担当編集の情熱
- 好きな出版社
担当編集の情熱は、とても重要だと感じています。本を作るという作業は、かなり気の遠くなる作業です。そのため、もし編集さんのやる気がなければ、最悪、作業が頓挫し、作品が世に出ない可能性も大いにあります。
他にも、良い編集さんに当たれば、著者のレベルがまだその域に達していなかったとしても、プロの校正スキルにより、立派な作品へと昇華して貰うことが可能です。
僕は、技術評論社の池田さんのお世話になることが多いのですが、個人として、とても成長させて頂けたと強く実感しています。
もし好きな出版社があれば、ぜひそこと交渉しましょう。もちろん、自分の本がその出版社のブランドイメージから外れていれば、可能性はありませんが、ちゃんと出版社のもつブランドとマッチしていれば、好きな出版社の方が話は早いはずです。
また、好きな出版社から本を出すことは、自らの喜びにも大きな満足感を与えてくれます。出版社も会社ですので、予算の状況に応じて、発売のタイミングはまちまちですが、待てるのであれば、やはり好きなことろから出すのが1番良いと思います。
出版社とのコンタクト方法
特に好きな出版社がない場合は、基本的に全部の出版社とコンタクトを取り、タイミングや条件を比較して検討すると良いと思います。
これは、紛れもない営業活動ですので、その際には、名刺と数字のあるプレゼン資料をもって行きましょう。
コンタクトの取り方も通常の営業と同じです。メールや電話などてアポを取り、直接会って資料を見せる。もちろん、メールや電話の際にも、目的と数字を完結に伝えておきましょう。
まとめ
近年は、個人の時代だと言われていますが、出版も電子出版の登場によって大きく変化してきています。
もちろん、まだまだ過渡期であり、出版業界の今後の状況についてはよくわかりませんが、本がなくなることはありませんし、情報があふれてきている現代だからこそ本の価値が見直されてきます。
価値の高いコンテンツを公開することは、個人のブランドにも大きくプラスに寄与しますので、もし時間と興味がある人は、ぜひ試してみると良いでしょう。